先進国で一番低い日本の生産性 改善の兆しあり
こんにちは。master_kです。
日本の生産性は先進国で最も低く、働き方改革が叫ばれています。
今回は、各国の生産性と労働時間、生産性の低い一部の業種などのデータをまとめ、今後日本の生産性は大きく伸びる兆しがあることを書きました。
それでは本文です。
目次
日本の労働時間
最近、自分の残業時間を見ていて、あることに気付きました。
それは、2016年頃から、圧倒的に残業時間が減っているということです。
2016年は、私の勤める会社内で「残業時間を真剣に減らそう」と言い始めたタイミングです。
なぜなら、この頃電通社員の過労自殺があり、社会的に過労働が問題になったからです。
私の所属する課では、以下のような施策で残業時間を減らす取組みを行いました。
・会議、報告資料の作成にかける時間を減らす
・不急の仕事は延期する
・不要な仕事は無くす
・ITや省力化する工夫を盛り込む
実際のところ、まともに機能したのは「会議、報告資料の作成にかける時間を減らす」くらいですが、
研究職と言う職業柄、効果は絶大で顕著に残業時間が減っていきました。
それまでは、「足りないデータは徹底的に取る」、「一字一句間違えない」、「資料提出納期、発表日までに何度でも修正して完璧に近づける」が、当たり前だったのですが、
・資料修正は原則一回
・データは何らかの結論を得るために取る(趣味、興味、穴を無くす意図でデータを集めない)
という方針に180℃変えたのです。
私が勤める会社は大手です。おそらく人手もそれなりに多く、経営体力もあるでしょう。だから、残業時間を減らすための施策を実行出来たのだと思います。
ところが、中小企業の場合、そうは行かないこともあると思います。今日明日の利益確保が死活問題になっていて、なかなか残業時間を減らす検討が出来ないという状況もあると予想されるからです。
というわけで、日本全体では残業時間がほとんど減っていないというのが現状です。
下記に、厚労省の労働時間のデータを15年分まとめてみました。
厚労省毎月勤労統計調査よりmaster_kまとめ(参考としてmaste_k労働時間追加)
毎月勤労統計調査 実数・指数累積データ 所定外労働時間 季節実数・指数累積データ 実数関連・暦年平均 | データベースから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
これを見ると、2004年~2018年まで、一般労働者(パートタイム以外)の労働時間はまったく減っていません。まったくです。
減っているのは、パートタイムの労働時間です(1146⇒1025時間まで減少)。
労働時間と生産性
次に、労働時間と生産性について考えてみたいと思います。
以下に、G7の生産性(1時間あたりに生み出した付加価値の量)を示します。
OECDデータを元にmaster_kまとめ
日本は、先進国(G7)の中で、ダントツの最下位です。しかも、これは直近だけでなく、安定の最下位です。
世界では31位で、「日本ってそんなに生産性低いの!?」というのが正直な印象です。
公益財団法人日本生産性本部 労働生産性の国際比較 2017年世界銀行データによる
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2018.pdf
次に、労働時間と生産性を見てみます。
OECDデータを元にmaster_kまとめ
これを見ると、一部の国を除いて、労働時間が短いほど生産性が高いことが分かると思います。
要するに、長く働く国は、「設備やシステムの普及が進んでおらず、人間が働いてカバ
ーしている(途上国に多い)」か、「直接利益に貢献しない無駄な仕事が多い」ということです。
考えてみれば、そりゃ、そうですよね。働く時間が短ければ短いほど、重要な仕事をやって、優先度の低い仕事はやらない、または後回しにせざるを得ないですから。
逆説的ですが、時間が限られれば、仕事の効率は上がる、ということです。
なお、ノルウェーなど一部の国の生産性が高い(労働時間と生産性のラインから外れた)理由は下記の通りです。
国名 | 理由 |
ノルウェー | ・産油により、高い利益を得ている。 |
ルクセンブルグ | ・税制優遇や預金者の秘密保持を拡充し、資産家や金融業を誘致した。 |
アイルランド | ・法人税をヨーロッパ最低レベルにして、外資企業を誘致した。 ・大学でのIT教育を重視して、成長産業の人材を育成した。 ・規制緩和を進めた。 |
詳細は以下のリンク参照
ところで、日本の生産性はどのように変化しているのでしょうか。
1970年~2017年までの約45年分のデータをまとめてみました。
OECDデータを元にmaster_kまとめ
ご覧の通り、OECD加盟国平均値を大きく下回り続けています。
直近の17年を見ても、日本が35⇒42$まで増えた(7$増)のに対して、アメリカは50⇒64$まで増えており(14$増)、差は大きくなっています。
OECDデータを元にmaster_kまとめ
それでは、なぜ日本の生産性は低いのでしょうか。その答えは業種ごとの生産性を見れば分かります。
以下の図は労働生産性が高いドイツと日本の業種ごとの比較です。
公益財団法人日本生産性本部 2018年4月6日報道機関各位産業別労働生産性水準(2015年)の国際比較
https://www.jpc-net.jp/study/sd7_sum.pdf
これを見ると、機械/石油石炭/輸送機械(自動車等)/金融保険/化学/金属/電気ガス水道/建
設/専門技術/運輸郵便まではドイツより高いか同等です。
しかし、宿泊飲食/食料品/その他製造業/その他サービス/情報通信/卸売/農林水産では、ドイツの半分以下になっています。
製造業全体でみると88.7%、サービス業全体では65.2%で、業種によって明暗がはっきり別れているのが特徴ですね。
余談ですが、過労働や低賃金が問題になるのは、これら生産性が低い業種であることが多いですね。人件費に資金を回す余裕がないからでしょう。
ここで、これまで見てきたマクロなデータを振り返ってみます。
・日本の生産性はG7で安定の最下位。伸びもイマイチで差は開いている
・労働時間を短くすれば、生産性は向上すると考えられる。しかし、労働時間は減っていない
・日本は特定業種の生産性が低い。特にサービス業が低い。
という結果でした。「日本、全然ダメじゃねーか」とも思うのですが、最近は日本が変化しつつある兆候が出ています。
・(私を含め)一部の企業では労働時間が減りつつある、
・直接利益を生まない過剰なサービスを辞めつつある(コンビニや牛丼チェーンの一部の店舗の24時間化をやめる等)
・サービス料金の見直し、値上げ(ヤマト運輸の値上げ等)が行われている
・人手不足で人件費が上がっている。このため、業務のスリム化や省人化が必要になってきている。
ほら、なんとなく社会が変わってきていることを感じるでしょう??
業務の無駄を省き、直接利益に結びつく仕事を重視すれば、「お・も・て・な・し」の精神を損なって、日本の長所がなくなってしまうのかもしれません。
ただ、古き良き日本が、過労働で虐げられている人々によって成り立っているのであれば、なくしたほうが良いのかもしれませんね。
私の結論としては、「日本の労働時間はこれから短くなるだろう。そして、生産性は向上する」と考えています。
以上です。
いかがでしたでしょうか?今回はこれで終わりです。
M.F.Y
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