2019年~2020年 世界経済は緩やかな成長を維持する IMF世界経済見通しの分析結果
こんにちは、master_kです。
最近、不安定な相場が続いているので、今回は2019年から2020年の世界経済の見通しを予想してみました。
予想に使ったのは、IMF(国際通貨基金)が年4回発表している世界経済見通し(WEO)のデータです。
その結果、2019年~2020年の世界のGDP成長率は、3.6%±0.7%以内で、緩やかな成長を続けると言えそうです。
もちろん、なんらかのサプライズで急速に景気が悪化する懸念もありますが・・
それでは本文にどうぞ。
目次
世界経済の見通し
IMFは、年に4回世界経済見通しを発表しています。
このレポートは誰でも読むことができます。
レポートの内容は、①国や地域ごとのGDPの成長率(実際の値)、②当該年度と来年度のGDP成長率の予測値、③市況です。
そのIMFのGDP成長率のデータを16年分まとめてみました。
※IMFの世界経済見通しのデータを元にmaster_kが編集した。
●:世界全体
●:発展途上国(国の詳細なデータはないが、購買力平価で発展途上地域の75%以上となる地域を含めたデータ)
この図の世界経済(●)のGDP成長率から以下が読み取れます。
・リーマンショックが起こった2008年にGDP成長率が3.0%に急低下した(2007年は5.2%)。
・リーマンショックの大底の2009年には、16年間で唯一マイナスとなった(-0.6%)。
・リーマンショック後は、3.1%以上で推移
というわけで、3.1%以上の推移であれば、世界の経済は堅調に推移するものと推定出来ます。
さて、世界経済見通しは、1年前のデータを実測データで示しています。そして、その年と翌年の”予測値”も載せています。
もういちど先ほどのデータを見てみましょう。
※IMFの世界経済見通しのデータを元にmaster_kが編集した。
●:世界全体
●:発展途上国(国の詳細なデータはないが、購買力平価で発展途上地域の75%以上となる地域を含めたデータ)
これを見ると、2019年、2020年の世界の経済成長率は3.5%、3.6%であることが分かります。
次章で説明しますが、IMFの予測はかなり精度が高く、概ね0.7%以内の誤差で的中するのです。
以上から・・・2019年、2020年の世界のGDPの成長率は2.8%~4.2%に収まると、私は予想します。
2018年のGDP成長率は3.7%ですから、景気が上向くわけでもなく、急激に低下するでもなく、勢いを失ったまま低空飛行と言った感じでしょうか。
ちなみに、最新の世界経済見通しのタイトルは、「成長の力強さを失う世界経済」です。
・・・まぁ、少なくとも景気は良くはならさそうですね。
世界経済の見通しの精度と各国のデータ
さて、次は世界経済見通しの精度について見てみましょう。
下図は、実際のGDP成長率と、予測値(当該年度、来年度)のデータです。
※IMFの世界経済見通しのデータを元にmaster_kが編集した。
※●予測値(当該年度に予測した値)
※●予測値(1年間に予測した値)
これを見ると、世界経済の予測値と実際の値にはほとんど差がないことが分かります。
乖離しているのは、せいぜい2010年と2012年の2回(それぞれ2.2%、1.4%)くらいです。
それ以外の年度では予測値と実際の値の差は0.7%以内に収まっています。
この精度の高さは、アメリカでも同様です。
※IMFの世界経済見通しのデータを元にmaster_kが編集した。
なお、アメリカのGDP成長率を見てみると、2010年以降、成長率が少しずつ低下している傾向が読み取れます。
先ほど、2020年までは景気は崩れなさそうと書きましたが、これを見ていると、2020年以降そう遠くない内に世界の景気は崩れるかもしれませんね。
今度は日本のデータを見てみましょう。
※IMFの世界経済見通しのデータを元にmaster_kが編集した。
世界経済や、アメリカの場合と異なって、日本の場合はかなり精度が悪いですね。IMFは日本のGDP成長率を予測するのが苦手なようです。
また、日本は2011年以降GDP成長率が2.0%以下となっており、世界やアメリカと比べてかなり低く、この先2019年、2020年も低いままであることが分かります。
私は、日本株をメインに投資していますが、これを見ると本格的に日本株のウェイトを落として、アメリカや発展途上国への投資をシフトしていこうかなと考えてしまいます。
※日本の未来が暗いことについては以下記事もおススメです。
●8つのデータで検証! 日本の衰退がひどすぎる件と衰退の原因
さて・・・それでは今回はこのへんで。
最後に、今回使用したデータを載せておきます。何かに使用したい方は是非どうぞ(IMFデータですので、出展の記載を忘れないようお願いします
M.F.Y!
●今回使用したデータ
●実際の値
World | U.S.A | Euro | Japan | Developing countries |
China | |
2005 | 4.4 | 3.1 | 1.5 | 1.9 | 7 | 10.4 |
2006 | 5 | 2.9 | 2.8 | 2.4 | 7.7 | 11.1 |
2007 | 5.2 | 2 | 2.6 | 2.4 | 8.3 | 13 |
2008 | 3 | 0.5 | 0.6 | -1.2 | 6.1 | 9.6 |
2009 | -0.6 | -2.6 | -4.1 | -6.3 | 2.6 | 9.2 |
2010 | 5.2 | 3 | 1.9 | 4.4 | 7.3 | 10.4 |
2011 | 3.9 | 1.8 | 1.4 | -0.6 | 6.3 | 9.3 |
2012 | 3.1 | 2.8 | -0.7 | 1.4 | 4.9 | 7.7 |
2013 | 3.3 | 2.2 | -0.5 | 1.6 | 4.7 | 7.8 |
2014 | 3.4 | 2.4 | 0.9 | 0 | 4.6 | 7.3 |
2015 | 3.2 | 2.6 | 2 | 1.2 | 4.1 | 6.9 |
2016 | 3.2 | 1.5 | 1.8 | 0.9 | 4.4 | 6.7 |
2017 | 3.8 | 2.2 | 2.4 | 1.9 | 4.7 | 6.9 |
2018 | 3.7 | 1.8 | 1.7 | 0.9 | 4.6 | 6.6 |
2019 | 3.5 | 2 | 2.5 | 1.1 | 4.5 | 6.2 |
2020 | 3.6 | 1.8 | 1.7 | 0.5 | 4.9 | 6.2 |
●当該年度の予測値
World | U.S.A | Euro | Japan | Developing countries |
China | |
2005 | ||||||
2006 | ||||||
2007 | ||||||
2008 | 4.1 | 1.5 | 1.6 | 1.5 | 6.9 | 10 |
2009 | 0.5 | -1.6 | -2 | -2.6 | 3.3 | 6.7 |
2010 | 3.9 | 2.7 | 1 | 1.7 | 6 | 10 |
2011 | 4.4 | 3 | 1.5 | 1.6 | 6.5 | 9.6 |
2012 | 3.3 | 1.8 | -0.5 | 1.7 | 5.4 | 8.2 |
2013 | 3.5 | 2 | -0.2 | 1.2 | 5.5 | 8.2 |
2014 | 3.7 | 2.8 | 1 | 1.7 | 5.1 | 7.5 |
2015 | 3.5 | 3.6 | 1.2 | 0.6 | 4.3 | 6.8 |
2016 | 3.4 | 2.6 | 1.7 | 1 | 4.3 | 6.3 |
2017 | 3.4 | 2.3 | 1.6 | 0.8 | 4.5 | 6.5 |
2018 | 3.9 | 2.7 | 2.2 | 1.2 | 4.9 | 6.6 |
2019 | 3.5 | 2 | 2.5 | 1.1 | 4.5 | 6.2 |
2020 |
●来年度の予測値
World | U.S.A | Euro | Japan | Developing countries |
China | |
2005 | ||||||
2006 | ||||||
2007 | ||||||
2008 | ||||||
2009 | ||||||
2010 | 3 | 1.6 | 0.2 | 0.6 | 2.2 | 8 |
2011 | 4.3 | 2.4 | 1.6 | 2.2 | 6.3 | 9.7 |
2012 | 4.5 | 2.7 | 1.7 | 1.8 | 6.5 | 9.5 |
2013 | 3.9 | 2.2 | 0.8 | 1.6 | 5.9 | 8.8 |
2014 | 4.1 | 3 | 1 | 0.7 | 5.9 | 8.5 |
2015 | 3.9 | 3 | 1.4 | 1 | 5.4 | 7.3 |
2016 | 3.7 | 3.3 | 1.4 | 0.8 | 4.7 | 6.3 |
2017 | 3.6 | 2.6 | 1.7 | 0.3 | 4.7 | 6 |
2018 | 3.6 | 2.5 | 1.6 | 0.5 | 4.8 | 6 |
2019 | 3.9 | 2.5 | 2 | 0.9 | 5 | 6.4 |
2020 | 3.6 | 1.8 | 1.7 | 0.5 | 4.9 | 6.2 |
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