オークマ株式会社が安い 株価と事業の強みまとめ
この記事の対象は・・・
投資経験:そこそこ★★★☆☆~★★★★★豊富
みなさん、こんにちは。
master_kです。
今回は個別銘柄情報です。オークマ株式会社という「工作機械」のメーカーです。
工作機械とは、「金属などの材料を切削、研削して必要な形状に作り上げる(機械部品を作る)機械」です。
機械を生み出す機械、ということで、別名「マザーマシン」とも呼ばれる産業で、日本の製造業の基盤です。
日本は工作機械の生産高で27年間連続世界第1位(1982~2008年)でしたが、これ以降は台頭する中国、ドイツに抜かれ世界第3位にとどまっています。
3位に転落したとは言え、日本が世界有数の工作機械メーカーを有する国であり、未だに高い競争力を持っているのは事実です。
その中でもオークマは割安と考えていますので、少し前に購入しました。今回はこの会社を紹介したいと思います。
目次
1.株価
まずは株価です。2018年1月直近高値7980円をつけていますが、その後、大した悪材料もなくダラダラと下がり続け、現在(2018.7.18)は5860円です。
PERは10.7倍です。この会社の競争力を考えると「買い」と判断して購入しました。
ただし、工作機械メーカーの業績は、モロに景気に左右されるので、景気悪化時は株価はかなり下がります。その場合は買い増せるような株数にしています。
2.事業および他社比較
オークマの売上げ高と内訳を下表に示します。
オークマ2018年度決算資料より転載
オークマ2018年度決算資料:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/61030/5540bf07/744c/4f7b/b6af/e257a3db0d9a/20180510105732733s.pdf
売上高のほとんど(98%)が工作機械であることが分かります。
同業他社と比較しても、オークマが工作機械に特化していることが分かります(下表参照)。
表 工作機械メーカーの各種データ(2017年)
社名 | 売上高 | 経常利益 | 利益率 | PER | 工作機械 | ロボット | 他 |
ファナック | 7266 | 2495 | 34.3% | 29.9 | 31 | 57 | 12 |
DMG森精機 | 4297 | 248 | 5.8% | 9.5 | 73 | 0 | 27 |
ジェイテクト | 14412 | 826 | 5.7% | 9.5 | 11 | 0 | 89 |
オークマ | 1821 | 226 | 12.4% | 10.7 | 98 | 0 | 2 |
※表の(工作機械/ロボット/他)は売上高の比率を示す。
※PERは2018年度業績予想値を使用して算出した。
※売上高/経常利益の単位は億円。
※日本の大手工作機械メーカーには、ヤマザキマザック株式会社もあるが、非上場企業につき、詳しい業績のデータがないので表から割愛した。また、非上場なので、通常の方法では株式を買うことが出来ない(投資出来ない)。
また、この4社を比較すると、以下のことが分かります。
・ファナックは売上高も利益率(34%!)も高い。ただし、PERが高く、とても割安とは言えない。
・DMG森精機はPERが低い。ただし、利益率は5.8%で比較的低い(一般的な企業と比較するとこれでも高いです。ファナック、オークマと比較すると低い)
・ジェイテクトは売上高はダントツ高い。ただし、利益率は低い。工作機械以外の売上が多く、工作機械が業績に与える影響が小さい。
・オークマは売上高では見劣りする。ただし、利益率は12%と高く、PERも10.7倍と低い。
というわけで、業績を見るとオークマが最も"買い"と考えています。
良い話ばかりして来ましたが、工作機械には懸念もあります。
それは、①不景気に弱い、②自動車産業の占める割合が多い、ということです。
①不景気に弱い
工作機械は「機械部品を作る」ための機械です。このため、不景気になり機械部品の需要が少なくなると業績が悪化します。
今後、不景気によって、業績が悪化して株価が下がった場合は、私は株を買い増します。
なぜなら、今後も産業の発展にともなって、機械部品は数量が伸びると考えているからです。また、部品に要求される精度もさらに高くなると考えられるため、一時的に業績が悪化したとしても、将来的には伸びると予想しています。
②自動車産業の占める割合が多い
工作機械統計要覧2017(一般社団法人日本工作機械工業会 編)によると、2016年の工作機械における国内需要の実に33%が自動車用途です。
工作機械統計要覧2017を元に作成したみずほ銀行資料: https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1058_11.pdf
日本の自動車産業が高い加工精度を要求したため、工作機械のレベルが向上したとも言えます(事実、工作機械メーカーはトヨタのある愛知に集中しています)。
自動車用途で懸念されるのが、電気自動車の増加です。
これからガソリン車から電気自動車(EV)への置換えがどんどん増えると思いますが、そうなると工作機械需要は減ると思います。
なぜならば、ガソリンエンジンは精巧な金属部品を多数組み合わせて作りますが、電気自動車用のモーターは、エンジンと比較して金属部品が少ないからです。
と、いうわけで自動車用途で需要が低下するため、今後は一時的に業績が下がると思っています(他の産業の数量や、要求精度が高まることで、いずれ回復すると思いますが)。
3.詳細な情報
詳細なデータを以下にまとめておきます。
・各国の工作機械出荷数量
2009年に世界トップの座から日本が陥落しました。
経済産業省2011年版ものづくり白書 第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発 第3節 産業力強化のための研究開発の推進 第1部付論 主要製造業の課題と展望より:http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2011/pdf/furon_02.pdf
・オークマ株式会社データ
社名 | オークマ株式会社 |
経営者 | 花木 義麿 |
事業 | NC工作機械(NC旋盤、複合加工機、マシニングセンタ、研削盤)、NC装置、FA製品、サーボモータ、その他、製造・販売 |
事業の優位性 | 工作機械に特化した事業で高収益。中国の廉価品の工作機械の台頭が目覚ましいが、高級機へのシフトで競争を回避。 |
設立 | 1918年 |
売上高 | 1821億円(2017年)、1627億円(2016年) |
営業利益 | 226億円(2017年)、160億円(2016年) |
営業利益率 | 12.4%(2017年)、9.8%(2016年) |
PER | 10.7倍(2018.7.6 会社予想) |
URL | https://www.okuma.co.jp/ |
オークマの業績は年々伸びています。特に利益率が伸びているのはいいですね。
オークマIR資料より
以上で、今回は終了です!
M.F.Y
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