関東電化工業株式会社が安い 株価と事業の強みまとめ
この記事の対象は・・・
投資経験:そこそこ★★★☆☆~★★★★★豊富
みなさん、こんにちは。
master_kです。
今回は久しぶりの個別銘柄情報です。関東電化工業という半導体関係の特殊フッ素ガスを製造するメーカーです。
記事の反響が大きかったため、データを厚くしました(2018.7.10)。
今後の半導体数量の予測と、六フッ化タングステンと他の部材の比較を追加しています。追加部は太字で書いています。
目次
1.概要
まずは株価です。2018年1月直近高値1415円をつけていますが、その後、大した悪材料もなくダラダラと下がり続け、現在(2018.7.7)は890円です。
PERは8.4倍、この会社の競争力を考えると買いと、判断し、購入しました。
さて、関東電化工業という会社は、高純度のフッ素を効率よく大量に発生させるフッ酸電解技術に秀でた会社です。
一般的な化学品も作っていますが、売り上げのほとんどは精密化学品であり、上述のフッ素化合物が大半を占めます。
主力のフッ素化合物は、以下の三フッ化窒素、六フッ化タングステン、ヘキサフルオロ-1,3ブタジエンの3種類です。
三フッ化窒素はいろんな半導体に使う汎用品。
ヘキサフルオロ-1,3ブタジエンは中国メーカーとの競争が激化。
半導体メモリ用途の六フッ化タングステンの需要とシェアは注目です。
なぜならば、10万円くらいする、某経済研究所の半導体業界の資料によると、「半導体部材(シリコンウエハ本体、および前後工程含む)のうち、2017年以降で最も数量が伸びるのが六フッ化タングステンだから」です。
この部材は2017年以降も年率7%以上伸びる予測です。
ちなみに次に伸びるのは、絶縁素材であるセパレーターです。
セパレーターを供給出来る会社は世界で3社で、これも魅力的な部材です。
トップシェアはADEKAという日本の企業です。しかし、ADEKAの売上高約2000億円のうち、半導体部材は約200億円の売上のため、残念ながら半導体部材の伸びが業績に直結しないと考えられます。
というわけで、六フッ化タングステンに注目したのです。
製品 | 用途 | 備考 |
三フッ化窒素 NF3 | 半導体製造装置クリーニング | |
六フッ化タングステン WF6 | 半導体メモリ製造用 | |
ヘキサフルオロ-1,3ブタジエン C4F6 | 半導体エッチング用 | 競争激化 |
■半導体メモリについて
半導体メモリは、PC本体のCPU等や、キャッシュメモリに使われる記憶装置です。
ハードディスクと比較して、応答時間が速く、振動に強いが、容量あたりのコストが高いのが特徴です。
携帯機器やデジタルカメラ等にも使われています。
直近の半導体は、その9割がスマートフォン用に生産されています。当然のように半導体メモリがばんばん使われています。
この半導体メモリ用の六フッ化タングステンは、なんと世界で5社しか生産出来ません。
※経済研究所の半導体業界の資料を見たので、間違いないと思います。ただし、技術優位性(なぜ5社しか生産できないか)は載っていませんでした。残念。
会社名 | 生産拠点 | シェア |
関東電化工業 | 日本 | |
セントラル硝子 | 日本 | |
SKマテリアルズ | 韓国 | |
Foosung | 韓国 | 5%以下 |
Air Products and Chemicals | アメリカ |
上表に示す5社が、六フッ化タングステンを生産出来るメーカーです。Foosungを除いた4社でシェアをほぼ均等に4分割しています。日本で50%のシェアがあるということですね。
先ほど数量の話を書きました。スマートフォンの伸びは一巡するでしょうが、話題のIoT、AI社会ではこれからますます伸びるのは当然といえば当然ですね。
2.データの一覧
関東電化工業のデータをまとめておきます。
注目すべきは利益率です。
一般的な会社では利益率10%あれば十分ですが、
この会社は17.5%!寡占産業、かつ供給不足気味ということで驚異的な数字ですね。
社名 | 関東電化工業株式会社 |
経営者 | 長谷川 淳一 |
事業 | 金属マグネシウムの製造のため創業。以来、電解等の専門技術、ノウハウを蓄積している。高純度のフッ素を効率よく大量に発生させるフッ酸電解技術、電池材料製品、医農薬等幅広い応用分野を持つフッ素関連技術に強い。 |
事業の優位性 | 日本初のフッ素電解技術を確立。その技術、生産能力は世界トップクラス。半導体メモリ用の六フッ化タングステンは世界で5社しか製造出来ない。 |
設立 | 1938年 |
売上高 | 513億円(2017年)、460億円(2016年) |
営業利益 | 90億円(2017年)、94億円(2016年) |
営業利益率 | 17.5%(2017年)、20.4%(2016年) |
PER | 8.4倍(2018.7.6 会社予想) |
URL | https://www.kantodenka.co.jp/ |
また、今後の半導体数量について、データを見つけたので載せておきます。今後、成長は鈍化する予測ですが、これでも十分ですし、半導体が複雑化しているので、数量が伸びなくても、六フッ化タングステンの使用量は多くなります。
ま、良いことばかり書いていますが、所詮六フッ化タングステンは受給で高収益を上げているので、不況には弱いです。ただし、一時的に数量が減っても、この先も伸びると思うので、不況で株価が下がったら、私は買い増しますが。それを踏まえての数量で買い付けています。
半導体の伸び(金額ベース)
2017年度 +21.6%
2018年度 +12.4%(予測)
2019年度 +4.4%(予測)
●世界半導体市場統計
2017年の世界半導体市場は、半導体合計でみると、ドルベースで前年比+21.6%であり、 2016年(同+1.1%)から大幅な拡大となった。景況感の回復により、幅広い電子機器向けに 半導体需要が旺盛で、メモリ市場を始め多くの製品で高成長がみられた。
2018年の半導体市場は、メモリ市場の高成長が継続することに加え、世界経済の持続的な 成長により多くの電子機器向けで半導体需要が拡大するとみて、半導体合計で前年比 +12.4%と2年連続の二桁成長を予測した。
その後、2019年は+4.4%と勢いは鈍化するものの、成長を持続するものとみた。
WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計)2018年春季半導体市場予測 2018.6.5 公表
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20180605WSTS.pdf
●一般社団法人日本半導体製造装置協会
「半導体製造装置について、2018年度の日本製装置販売高は、大手ロジックメーカと3D-NANDに加えてDRAMを中心としたメモリーメーカの力強い投資により、前年度比12.7%増の2兆3,027億円を予測した。2019年度以降も堅調に推移するとして、2019年度を5.0%増の2兆4,176億円。2020年度も5.0%増の2兆5,385億円と予測した。」
※master_k:メモリが伸びているようですね。
(中略)
半導体消費は、これまでPCやスマートフォンなど特定製品の需要に依存していたが、動画配信などでデータ量が急増し、データセンター関連で大きく伸びている。
2019年にも開始される5G通信やIoT、AI/ディープラーニング、自動運転の本格化などで、データ量がさらに増え、半導体の需要は「重層的な広がり」を見せ始めている。
※master_k:本文でも触れている通り。現在はスマホがメインですが、これから半導体を使用する製品の種類や、用途がどんどん増えそうです。
(中略)
設備投資については、2017年度は大手ロジックメーカと3D-NAND向けを中心としたメモリーメーカの積極投資により市場が拡大した。2018年も大手ロジックメーカとファウンドリの投資は堅調で、メモリーメーカは3D-NANDからDRAMに投資の重心を移行する形で大型投資を持続する。2019年以降は、中国地場メーカによる大規模投資が本格化し、継続的な拡大が見込まれる。
一般社団法人日本半導体製造装置協会 2018年7月発表半導体・FPD製造装置需要予測(2018~2020年度) 2018.7.5公表
http://www.seaj.or.jp/statistics/data/July%202018SEAJ%20Forecast(Japanese)_final.pdf
以上で、今回は終了です!
M.F.Y
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